オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
それからすぐにメルさんはカップをソーサーに戻して本題に入ったため、あたしも慌ててソーサーに戻し、ピンと姿勢を正す。

葉司のことだと分かっているから、自然と背筋も伸びるというものだ。


……ていうか「待ち伏せたわ」って、ちゃんと本心から謝っておられますかね? あたし、本当に恥ずかしい思いをしたんですケド。

ああ、明日から大学に行くのが恐ろしい。

“お構いなく”と言ったものの、そう、あたしは心の中でツッコミまくる。


「それで、次にあたしのことだけど、あたしの家はご覧の通りの屋敷なの。でも愛菜のことを話すために来てもらったから、そこら辺は割愛させてね。聞きたいことがあれば、帰りに運転手の野宮に聞いてくれて構わないわ」

「……はあ」


おいおい、ざっくりだな、メルさん……。

見た目はフランス人形みたいに綺麗だけれど、そこはさすがに男性的と言うべきか。

とにかく、ツッコんでばかりもいられないし、話を先に進めるためにも、ここは適当に相づちを打っておいたほうがいいだろう。


「前置きはこれくらいでいいかしら。ときにまことちゃん、あなた、愛菜がどうして“オトコの娘”になったのか、理由をご存知?」
 
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