オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
急にブルーの瞳に見つめられて一瞬ドキリとしつつも、気を取り直してしばし考える。
そういえば、ワキペデュアで“オトコの娘”についての知識は得たものの、どうして葉司がそうなったのか、理由は聞いていなかった。
あたしにとってもそれは一番知りたいことだったのだけれど、その前に“距離を置きたい”とメールをしてしまったし、気まずいと思っているのか、純平もあれから近づいてこないので、なんだかんだで聞きそびれている。
「いえ、一番知りたいことなんですけど、タイミングが合わなくて、ずっと聞きそびれちゃっているんです。……実はあたしたち、今、ちょっと距離を置いているところでして」
「やっぱりね」
「と、言いますと?」
メルさんが意味ありげに頷いたので、また唐突に本題に入ったよ、という心のツッコミはそっと脇に置いて、せき込んで聞いてしまう。
するとメルさんは、何から話そうか、と思案顔で顎に指を当てて考えはじめ、やがて内容がまとまったようで、こう話しだした。
「愛菜、最近めっきり元気がないのよ。いえ、お店では元気なんだけど、なんていうのかしらねぇ、歌とダンスのキレもないし、休憩中は灰になったみたいに真っ白なの」