オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
それからメルさんが話してくれたことは、要点をまとめると、こういうことだった。
その1。
葉司の家はとても厳しい家庭で、都会の大学に進学することすら、生半可な説得の仕方では納得してもらえなかったらしく、今でもあまり快くは思ってもらえていないらしい。
その2。
葉司は下に妹さんが2人いる3兄妹の長男であり、小さい頃から、父親に呪文のように言われ続けてきた言葉は「男に生まれたからには、たとえ死んでも女を守れ」というもの。
ある程度物事が分かるようになってからならまだしも、産まれてまだ3日目の頃から言われ続けていたそうで、なかなかヘビーな要求を背負って20年間生きてきた、ということだった。
その3。
父親は妹たちには甘く、それを葉司は理不尽に思いながらも、しかし反論しようものなら拳が飛んでくるような激烈な父親なため、どうして自分だけ厳しくされるのだ、というフラストレーションが溜まる一方だったそうだ。
高校生になった頃には「大した男でもないくせに彼女など10年早い」と、恋愛にも口を出されるようになり、彼女はついぞ出来ず……。
散々な3年間を余儀なくされたらしかった。