オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
歌とダンスって……。やっぱりか。
奈々に見せてもらった動画が思い出されて、思わずブルッと身震いをしてしまった。
「でね、その理由は分かっているから、まあいいんだけれど、もしかして愛菜、肝心なことを話していないのかも……と思ったわけよ」
「それでわざわざ、大学で待ち伏せたと」
「ええ。あたしがでしゃばることでは、もちろんないわ。ただ、まことちゃんがもしも“オトコの娘”の表面的な部分だけで愛菜とのこれからのことを決めようとしているなら、その前に理由だけでも話しておくべきだと思ったの」
「そうだったんですか……。じゃあ、聞かせてください。お願いします、メルさん」
あたしも深い部分を知らずに判断するのは、葉司にもメルさんたち“オトコの娘”にも失礼だと思っていたところだった。
でしゃばっているなんて、ちっとも思わない。
葉司となかなか連絡が取りずらい今、近況を知れて、なおかつ“オトコの娘”になった理由も教えてもらえる、というメルさんのこの提案は、とても優しさに溢れ、温かい心遣いに思う。
そうして話を請うと。
「大前提として、愛菜はまことちゃんのことが大好きで、本当に大切に思っているのよ。それから、ちゃんと“ストレート”な男の子だわ」
メルさんはまず、そう前置きをした。