オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
メルさんはさっき、それは葉司のプライドだと言ってくれたのだけれど、果たしてそれで片付けてしまっていいものだろうか……。
彼女なのに、ちっとも気づいてあげられなかった自分が悔しいやら、情けないやらだ。
「さて。紅茶、淹れ直してくるわ。お菓子もたくさんあることだし、ここからは楽しくお茶会でもしましょう。ちょっと待っていて」
「……はい」
すっかり意気消沈してしまったあたしを気遣ってくれ、メルさんは新しく紅茶を淹れてくれると言ってソファーを立つ。
あたしはそのご厚意に甘えながら、葉司とのこれからのことを真剣に考えはじめていた。
1人で考える時間を作ってくれたのだろう、やがてたっぷりと時間をかけて紅茶を淹れて戻ってきたメルさんに、あたしは言う。
「メルさん、あたし、葉司と話したいです」
メルさんはただ、妖艶に頷いた。
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「石田様、少しよろしいでしょうか」
「うぇぇいっ!? は、はいっ!」
メルさんのお屋敷からの帰り道。
運転手の野宮さんに送ってもらいながら、すっかり夜になった街の景色を見ていると、その野宮さんが唐突に口を開いて、あたしは後部座席で飛び上がりつつ、奇妙な声で返事をした。