オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
奈々の言葉は素直に嬉しかった。

けれど、力なく笑って、あたしは否定する。


「今はそうじゃないの?」

「……分かんない。でも、お互いに本心からじゃなくても別れたってことはさ、あたしの愛はその程度のものだった、ってことだよ」

「マコ……」


奈々もほんと、親友のひいき目だからって、買いかぶりが過ぎるというものだ。

あたしに菩薩のような器が備わっているというのだろうか、なかなかどうして、信じ難い。


「ごめんね、毒ばっかり吐いて。しばらくはこんな感じだと思うけど、そのうちマシになるだろうだからさ。うざくても、それまで勘弁ね」

「……うん、分かった」

「ありがと」


気づけばお昼休みもあとわずかとなっていて、少々強引ではあったけれど、話をまとめ、ほとんど手つかずだったお弁当を急いでかき込む。

教室にも次の講義を受ける学生たちが徐々に集まりはじめていて、これ以上、葉司の話を続けることは難しかったし、いくら大ダメージを食らっていても、腹が減るものは減るのだ。

エネルギーは補給しておきたい。


そうして教室を出れば、今日のところはもう、奈々とはバイバイだった。

学科が違うため、寂しいけれど、そうなる。
 
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