オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「……じゃあね、マコ。話はだいたい分かったけどさ、あたしはやっぱり、マコたちは別れるべきじゃなかったと思うのよ。もう一度、よく考えたほうが絶対いいから」
「いいよ、もう。ほら、遅れるよ」
「うん……」
まるで奈々のほうが別れたみたいに落ち込んでいるから、あたしは少し、笑ってしまう。
葉司とは、あんな終わり方になってしまったけれど、そして、まだまだ気持ちを引きずってしまうだろうけれど、これでよかったのだ、と今は思うことにしようと思う。
毒を吐かせてくれる奈々もいてくれるし、そのうち、隣に葉司がいないことにも徐々に慣れていって、それが普通になるはずだ。
「じゃあね、奈々。また明日ね」
「よく考えて!絶対だよ!」
「はいはい」
そうして、後ろ髪を引かれるように何度も振り返り、そう言う奈々に笑顔で手を振り、あたしも次の講義の教室へと移動した。
その途中、ムサい後ろ姿を見つけたあたしは、急いで駆け寄り、頼み事をする。
「純平、葉司のこと、あんたに頼んだよ。あたしはもう、隣にはいられないからさ」
そう言って肩を軽くグーで叩き、純平の反応を待たず、その背中を追い越していった。
……頼んだぞ、純平。