オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「パジャマパーチーじゃないよね、これ。何か企んでるんでしょ? どうりでおかしいと思ったのよ、潔癖な奈々が誘ってくれるなんて」
「んふふ。バレたか」
「用件は何だね。葉司のこと?」
メガネに鼻とヒゲが生えた、もはや変装グッズでもなんでもないメガネを掛けさせられたあたしは、そのままの格好で奈々に詰め寄る。
迫力なんてこれっぽっちもないけれど、あたしはもともと、パーチーメガネを掛けたような顔をしているのだ、かまうものか。
すると奈々は、もう一つのパーチーメガネを装着すると、かしこまってこう言う。
「オトコの娘カフェに行きたいの」
「……もっかい言って?」
「あたし、オトコの娘カフェに行きたいの」
なんで今さら? というよりは、そんな格好で外を出歩こうとしているところに、まずはジワジワと恐怖を感じてくる。
奈々はときどき、こういうことを本気でやろうとするから、親友の名にかけて、あたしがしっかり止めておかなければならない。
「うん。奈々、パーチーメガネだけは、あたしが必死で阻止するわ。ほかもズレてるとは思うけど、メガネはいかがなものだろう」
「そお?」
「そうだよ」
「うーん、分かった。了解」