オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
そうして、なぁんだ、そうだったのかぁー、と納得しかかっていると……。
「ごめんマコ、この間終わったばっかだよ」
「……あ」
現実に引き戻された。
つい1週間ほど前に学園祭は大盛況のうちに終わったのだ、どうして来年の出し物が今決まっていると思ったのだ、あたし!
「えー。じゃあ、誰かに頼まれて女装することになったの? 例えば、無理やりお見合いさせられそうな知り合いがいて、彼女のふりを頼まれたとか。葉司、顔綺麗だもんね!」
「俺にそんな知り合いがいると思う?」
「……ごめん、思わない」
「なんでそこで謝るの」
「なんとなく?」
葉司の交友関係はわりと狭い。
一匹狼タイプとか、性格が暗いだとか、そんなことは全然ないのだけれど、バスケ部の友だちの純平、あたしの親友の奈々、サッカー部のみんなに、ファミレスのバイト仲間。
それくらいが、葉司の人づき合いの範囲。
加えて、つき合うときに「マコとはちゃんとしたいから俺の知り合いを紹介するね」と、全員を紹介してくれたのだ。
こんなに誠意溢れる人が、あたしの知らないところで誰かとどうこうなっているなんて可能性は、万に一つだってありはしない。
そこだけは、自信を持って断言する。