オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
それにしても、愛菜を本物の女の子のように扱う竹山や、扱われている愛菜を見ていると、なんかこう……胸のあたりが変になってくる。

ズキズキというか、モヤモヤというか。

自分でも変だとは思うけれど、ついこの間までは竹山が触った愛菜の手はあたしのもので、愛菜が笑顔を向ける相手もあたしだったのだという気持ちが沸いてきて、思わず、愛菜から竹山を引っ剥がしたい衝動に駆られてしまう。


「マコ、顔が般若だよ」

「うおぉぉいっ!?」

「そうね、すごい顔よ、まことちゃん」

「……、……。メルさんまで」


その気持ちが如実に顔に出ていたのだろう、奈々にもメルさんにも般若だと言われてしまい、あたしは慌てて愛菜たちから目をそらす。

これでいい、と自分に言い聞かせてはいても、実際のところは、まだまだ気持ちがついていっていないのが現状だと突きつけられた思いだ。


「あたしの顔、そんなにすごい……?」


聞くと、2人は顔を見合わせ、無言で頷く。

そうか、そんなにか……。

愛菜が元気で働いてくれていればそれでいい、という気持ちも本当なのだけれど、竹山の出現によって、また“分からない”という気持ちに振り出しに戻ってしまったのかもしれない。
 
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