Ending Note


「鴨井いずみ! 思い出した、いずみちゃんだよ!」


「あ~、いずみちゃん! そうだったそうだった」



会話に入りたかったけれど話がどうにも見えなくて、諦めたあたしは冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注ぐ。


2人の話からこぼれる単語を拾っていってみると、静子おばさんの同級生の鴨井いずみちゃんの高校時代の話らしい。



「ほんとに吹っ切れてよかったよ、いずみちゃんも」



がはは、と笑う静子おばさんの声がおかしくて、笑いを堪えながら麦茶を喉に流し込む。



「ほら、よく言うじゃない。初恋なんか実らないってね」



ごくり、と、麦茶を飲みこんだ音が大きく聞こえた。



“初恋なんか実らない”



――とどめの一言だ。

リビングからさっさと退散して自分の部屋に行けばよかった。



なんだってこんな日に、こんな言葉をダイレクトに聞いてしまったんだろう。






< 133 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop