Ending Note
あたしの大切な親友・奈瑠美にも、ママのことを打ち明けた。
“嘘でしょう!? もう手の施しようがないなんて――……”
奈瑠美は、あたしに代わって声を上げて泣いてくれた。
裕貴先輩は――……
“そこ、違う。ここで使うのはその公式じゃないだろ”
あたしが自分から話さない限り、ママのことを決して聞いてこない。
ママがまだ元気だった頃と変わりない態度でいてくれるから、あたしにとってはそれが救いだった。
ママ不在の家族3人の生活。
いつの間にか、あたしたち家族の中から“余命宣告”の話は消えていった。
余命3週間であることを知ってすぐにママに会いに行ったあの日から、あたしと虎太郎は一度だけ顔を出した。
ママは相も変わらず、あの病室にいて。
いつものようにおどけた口調で、あたしたちをおちょくるけれど。
……その弱々しい姿に、あたしは何度も涙を堪えた。