Ending Note


段ボール箱を番号通りに開けていけば、これからあたしたちが必要になってくる物が順を追って入れられている。



あたしと虎太郎が、大学の入学式と卒業式の時に着るスーツや袴。

成人式用の着物。

そして、社会人になった時のためにと虎太郎にはスーツとネクタイ。

あたしにはパンプスや控えめのアクセサリーが入っていた。



「身に着けるものばかり……。ママ、いつの間にこんなに準備したんだろう」


「通帳も入ってる。姉ちゃんと俺、それぞれの……」



見ると、あたしと虎太郎名義の通帳には、【社会人になって、どうしても必要になった時にだけ使うこと】というメモが添えられている。



どうしても必要になっても、このお金は使いたくないな。

ママがあたしたちのために貯めたお金。

ずっとずっと、大事に取っておきたい。



「……姉ちゃん! これ見て!」



通帳を大切に胸に抱えてママのことを思っていると、虎太郎が驚いた声であたしを呼んだ。



「どうしたの?」


「これ、すごくないか!?」



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