Ending Note


そうだ、奈瑠美の言うとおりだ。

すぐそこで呼んでいるのに、あまり待たせたら感じ悪い。



ぎくしゃくした歩き方で、裕貴先輩のもとに何とか辿りつくと、真っ先に声をかけてきたのは一緒にいた加古川先輩の方だった。



「“栗沢千春”?」



……失礼だな、おい。

初対面でいきなり呼び捨てなんて。

裕貴先輩のオトモダチだから特別に許してやる。



「正門前でお母さんが倒れて、いま保健室にいるんだけど」



要件を伝えたのは裕貴先輩だった。


また喋れてラッキー……なんて悠長なこと言っている場合じゃない。



「マ……、母が!?」



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