不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
その様子を紅茶を飲みながら、ぼーーっと見つめていた。

今彼と一緒にいる。あんなに探しても求めても、

ボロボロになってですら見つからなかった彼が今、どうしてか同じ部屋にいる…

そしてふと、いつまで彼はここにいるのだろうか…

そんなことも思った。


その後、私もシャワーを浴びた。

日帰りの予定だったから、着替えの用意なんてしているわけもなくて、

備え付けのものを身に着けるしかなかった。


それから、意を決して彼の真意を探ろうと少し話をしてみた。

彼に聞きたいことはたくさんあったが、

何を話しても、いつものあのペースに巻き込まれてしまって…

うまくはぐらかされてしまう。

私は知りたことを何も知ることのできない…

そんな不毛な会話に疲れてしまった。


「おやすみなさい」

「おやすみ。ほうちゃん…」


私たちはそれぞれの寝室に入った。


明日は早い。始発で帰らなきゃ、仕事には間に合わない。

不思議な時間を過ごしながらも、それでも目の前に現実は迫ってきている。

私は大希さんの妻で、瑞希の母であるという自分の現実。


でも、隣りの部屋には非現実を象徴するように…

居なくなったはずの彼がいる。

その存在を、息遣いを感じながら、私は無理矢理眠りについた。
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