不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
15

…失踪

どうもいつの間にか気を失っていたらしい…

重たい瞼を持ち上げる。躰が重くてだるかった。

ココがどこで今何時頃かも、何もわからなくなっていた…

ふわふわとした感覚に身を任せて、漂うようにしばらくそのままにしていた。


眞人との久々の触れ合いは、心地よくて…

それでいて刺激的だった。

何度も波が訪れ、その度に必死に彼にしがみついた。

最後の大きな波の時、私の躰は震えが止まらず、背中が大きくのけぞった。

愛されることの喜びを心と躰でめいっぱい感じ、

何もかもが爆発して粉々に砕け散ってしまいそうだった。


とめどなくやってくるものをこらえようとして、零れる涙。

視界が一瞬にして白い世界になり、自分の何もかもが壊れて

全てがなくなってしまうような、彼と何もかも溶けあって混じり合うような感覚…

その未知の感覚にすべての意識をさらわれてしまったのだろうか…


こんな快感…

知らなかった。

今までのものが色あせて見え、

私は今まで何を知っていたのだろうかと思った。


大希さんとの触れ合いは、お互いを慈しむような関係だった。

長年馴染んだ肌は心地よく、彼は私に色々教えてくれた。

だからそれなりの経験もあると思っていた。子どもだって産んでいる。
< 115 / 130 >

この作品をシェア

pagetop