不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
そんなことを思っていたある日、慈希が俺の心に直接土足で

入り込んで問いかけてきた。


『「10年後にこの子だけに一度会いに来るから

よろしく伝えといて?か」』


その声は慈希?信じられずに慈希に目をやる。

『「慈希か?10年後…

何だそれは?」』

俺は心の中で答える。

『「僕への伝言だろ?」』

慈希の答えに、俺は息をのんだ。


『「なんだ、こいつもテレパス?

…わかるのか?」』

『「この頃わかるようになったんだ」』

3歳の子どもの言葉ではない。

こちらに視線を投げかけながら

『「めんどくさいから黙っていたけど…」』

『「伝言?」』

『「俺が生まれる前に、誰かからそんなことを言われてるんだろ?

厳密には言われたわけじゃないんだろうが…」』

確かに慈希が生まれる前に、眞人が亡霊のように現れて、

子どもが生まれることも、男の子であることも言い当て、

慈希と名前を付けたいと言っていた。


その後、ほのかも同じ名をつけたいと言ったのでそうしたが、

でも俺には結局なんであんな風に表れたのかよくわからなかった。

どうして、慈希はこんなことをそれもこんな形で尋ねてくるのだろう…
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