不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…真実(大希)

3歳になってから、慈希は突然ぐっと大人びた。

子どもも3歳になると反抗期も訪れ、

何でも自分でしたがる時期ではあるにしても…

それにしても何かが違う。


うまくいえないのだが、普通のこの時期の子どもではない空気を纏っている。

瑞希とも明らかに違っていた。


そして、何より気になったのは、慈希とほのかの関係性が

明らかに変わったことだった。

この二人は…

ただの母子ではなくなった。


俺の前で、意識的にか無意識になのか、小悪魔の微笑みを浮かべて

ほのかの手を取り、その手の甲に自然なしぐさで口づける。

その時のほのかを見る目が母親をみる目じゃない気がして…

我が息子ながら心底怯えた。


そして、その後こちらに向かって投げかけるあの視線が…

またキツイかった。


なんなんだこいつは?子どもらしくない一面。

全てがそうではなかったが、所々違和感を感じることが多くなった。


それに何より俺が怯えたのが、慈希が微笑むときの表情だった。

右頬に浮かぶのエクボ…

その微笑みは、遠い過去の忌々しいものを呼び起こすもので…

俺の心の奥底の誰にも触って欲しくない部分がズキズキと痛んだ。
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