不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
そう思った矢先、妊娠していることが分かった。

人様の子どももかわいかったが、わが子は格別だった。

「まぁ―まぁ――」

と初めて呼ばれた日、仕事から帰ってきた大希さんに泣きじゃくりながら抱きついて、

びっくりされた日が昨日のように思い出される。

膝にいる、私の王子様は今でも我が家の宝だ。


「明日、動物園と博物館と公園のどれにする?」

一泊目の晩、明日の予定を決めるべく私は瑞希に聞いた。

「全部は行けないの?」

「欲張りさんね。でも場所がここと、ここと、ここだから…

無理かなぁ」

それは、3か所とも微妙に距離があって、難しいように思われた。

「早く起きたら行けない?」

「確かに早く起きたら行けるかもしれないけど…

せっかくの旅行だからお母さんは瑞希とゆっくりと見てみたいな」

「うん、じゃあ母さんはどことどこに行きたい?」

「う―――ん、公園はおうちのそばでも行けるから、動物園と博物館かな?

博物館は乗り物のだから、瑞希好みだと思うし。どう?」

「うん。それでいい。ただ、僕が早く起きれたら、最後に公園にも行きたい」

「そうだね。じゃ、最後公園に行きやすいように、順番を決めようね」
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