不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…親子

翌日、私が寝坊した。

瑞希は早く起きたのに、身体がだるくて、

公園に行けそうなほど早くは起きれなかった。

瑞希はいつもと違って起きない私を怒らずに、

大希さんと二人で心配してくれた。

そして、その日は結局2か所しか遊びには行けなかった。

連休前に月末の書類に根を詰めすぎたのか

私は起きても体調が微妙にすぐれなかった。

「かあさ――ん。これ、一緒に乗ろう!!」

瑞希に手を引かれ私は建物の屋外に連れ出された。

乗り物の博物館は、変わった自転車が屋外で乗れる

コーナーがあり、瑞希はご機嫌に、珍しい乗り物に乗りまくった。

二人乗りの自転車に私を乗せて一生懸命にペダルをこぐ。

三人乗りには大希さんも一緒だった。

「母さんはここで、僕はここ」

瑞希は私を真ん中の席に乗せ、自分は隣に座った。

「俺はこっちか?」

挟んで反対側には大希さん。

「うん。母さんだけが隣がいいの」

「何だよそれ。父さんは?」

「父さんは母さんの隣に座れたら満足でしょ。

仲良しなんだから」

大希さんは渋い顔をしながらも否定しなかった。

子ども相手にかわいいなと思いクスッと笑うと、

「母さん何か?」

と低い声で聞いてきたので、焦って知らんふりをした。
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