不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…不審

でも…

でも……

でも………

嬉しい気持ちよりも困惑する気持ちの方が大きかった。

言葉にできない不安。

どうしても気になることが頭を離れない。

この妊娠を、単純に素直な気持ちで喜べない自分がいる。


その理由は…

何より誰の子?大希さんのなの?

最大の理由はそこだった。


今までできなかったのに、今更できるものなのか?

瑞希が生まれて5年。

それなりに努力はしてきたつもりだが、自然妊娠はやはり無理だと考えた私は、

今年に入って不妊治療を再開したいと大希さんに相談した。

不妊治療は、夫婦ともに苦痛を伴う。

特に女性の肉体的、精神的な苦痛も半端ではない。

治療のたびに仕事に都合をつけ、痛い思いをしてもうまくいかずに

落ち込むことの繰り返し。

そんな様子を以前身近で長い間見ていた大希さんは、

「あそこまでの思いと苦痛を味わって、兄弟が必要なんだろうか?

お前の気持ちはわかるがあの時と違って瑞希もいるし、

年齢も重ねていて体力的にも心配だ。

なにより俺にとってはほのかが元気で

明るく暮らせるそのことが大切なんだよ」

といって、治療に賛成してくれなかった。
< 50 / 130 >

この作品をシェア

pagetop