不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
そして、その話をしてから彼は以前にもましてきっちりと避妊していた。

おそらくそれで元々妊娠しにくい私にとって

妊娠する可能性は格段に低くなったのではないだろうか?

この前の旅行で、3人で生きていこうという考えを

改めて聞かされてしまうと、治療の話はできなかった…


大希さんは私の諦められない気持ちまではわかってくれない。

私を求める気持ちがある一方、失うことの恐れが強くあるのだろう。

彼にとって私はなかなか手に入らない女だった。

彼の気持ちがわかっていても、

眞人がいなくなったから、今度はこっちへはいと変われるほど

器用な女じゃなかったから…

それでも辛抱強く待ってくれた大希さんに徐々にではあるが

友情以上の感情を持つことができた。

そんな大希さんを傷つけることにはならないのだろうか?


産んでしまってから、もし何か信じられない事実が存在したとわかった時、

果たして私は、私たちはそれに向き合うことができるのだろうか?


闇の淵がぱっくりと口を開けて手招きしている?

それとも、奇跡に歓喜してこの流れに身を任せるべき?

私は大希さんにこれ以上の十字架を背負わすことになってしまわないのだろうか?

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