不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
いつもそこで目が覚める。

1度見た時は、そんな夢もあるかと思った。

2度目、3度目…回を重ねるごとに、あの悪夢と同じ恐怖心が募っていった…

同じ夢を見続ける事…

そしてその夢を憶えているという事実…

そして何よりその内容…

その光景はまるで…

家族の…

親子のようだったから。


私と大希さんと瑞希ならこういう光景はリアルでも十分ありうると思うけど…

問題なのは、なぜその人が大希さんではないような気がするということ。

顔がはっきりと見えないからでもあったが…

右頬にあるエクボは…

手紙の夢も彼が関わっていたのだが…

そうなの?やっぱり彼なの?


あの悪夢のような、私を地獄の底に突き落とすような

全否定の感じはないのだが…

この夢は違う意味で私を悩ませた。

私が妊娠前の出張の時に感じた違和感。

それから拭えなかった漠然とした不安な気持ちがこういう形で表れているのか?


それとも何かの思い込みなのだろうか?

私は本当はそういう未来を夢見ていたのだから…

大希さんは優しくていい人だが、私にとっては1番かというと答えられない。

目の前にいる大希さんを裏切っているようで…

その気持ちを毎回突きつけられるようで…

以前にもまして、夢を見ることが怖くなった。
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