不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
12

…夢想

慈希は一言でいうと不思議な子どもだった。

瑞希とは6歳も離れているので兄弟という感じにはならなかった。

瑞希は弟ができたことをとても喜んで大切にしてくれた。

大人しく穏やかな瑞希と、活発で不思議な慈希。

慈希が生まれてから、私はあの手紙の悪夢を全く見なくなった。

それについてはほっとしていたのだが、

時たま種類の違う変な夢を見るようになっていた。

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誰かと、慈希と、私。

慈希を真ん中に3人で手をつないで明るい日差しの中、芝生の上を歩いてた。

私とその誰かは慈希に向かって微笑みかけている。

私はその人に視線をやると、右頬にエクボが浮かんだ…

そう、右頬にエクボ。

ハッとしていると、突然慈希が私たちの二人の手を振り切って、

芝生の上を走り始めた。

しばらく走り回って、私たちから距離を取ると、

「かあさ―――ん。とおさ―――ん」

と大きな声で呼ぶ。

それを微笑みながら見ている私をおいて、その人は慈希を追いかける。

慈希が捕まって、二人が芝生に転がり笑い声が上がった…

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