吸血鬼が幽霊になって何が悪い!


個室に三十代くらいの男が眠っていた。流動食注入用チューブが左の鼻の穴に入っている。喉が隆起していることから自発呼吸はできているみたいだ。


そして、傍らの椅子にパジャマ姿の男が座っていた。


「彼は君らの仲間だ」
よく見るとベッドで寝ている人物と椅子に座っている人物は同じ。植物状態の自分が目を覚ますのを心待ちにしているようにおれの目には映った。


「清水さん、決断はできましたか?」


「し、執行官?!」
驚きの表情でパジャマ姿の清水という男はこちらを見る。


「彼のことは気にしないでください」
執行官は後ろにいるおれを空気のような存在に仕立てたが、シルクハットとマントをしたおれを清水はなかなか視線から外すことはできない。

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