キミと生きた時間【完】

キッチンへ向かうためにはリビングを通らないとならない。


忍び足でわずかに開いていたリビングの扉の隙間から中を伺う。


そこには、ソファに座り両手で顔を覆い苦しそうに体を丸めたお母さんがいた。


その隣に座り、必死にお母さんの背中をさすりなだめているお父さん。


ドクンッという自分の心臓の音がやけに耳に響いた。



「……――私のせいで、里桜がどれだけ嫌な思いをしたのかしら。全部、私のせいだわ」


お母さんの透き通った高い声が、泣きすぎたのか鼻声でかすれている。


お母さんがこうやって涙を流すところを見たのは、初めてだった。
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