キミと生きた時間【完】

『あー、こういうのってすっげぇ苦手だから、なんて言ったらいいのか分かんないけど……』


困ったように頭をかく宇宙の姿に息が止まりそうになる。


気付かなかった。


宇宙が、こんな動画を残していたなんて……。


この動画は、展望台へ行った日……――。


あたしがトイレにいった隙にとったに違いない。


宇宙は一度息を吐くと言葉をつづけた。



『……――里桜、俺と付き合ってくれてありがとう。俺を好きになってくれてありがとう……。それと、ごめん』


なんで、ごめんって謝るの……?


宇宙が謝る必要なんて何もないのに。


『最初は、里桜の話を聞くだけのつもりだった。いじめられてるって、苦しそうに話してくれた里桜が、俺に話をすることで少しでも救われたらって。俺は正直いつまで生きてられるのかも分からないし、俺が生きている間に里桜を救ってやりたいって思ったんだ』


画面越しに見る、宇宙の顔が涙で歪む。



『だけど、何回も会ううちに、里桜と一緒に過ごす時間が楽しくなった。一緒にいると安心するし、時間も忘れるくらい楽しくてさ。もっと生きたいとか、もっと里桜と一緒にいたいとか……そんな贅沢なことを考えるようになった』


あたしだって、宇宙と一緒にいたいって思ったよ。


ずっとずっと、一緒にいたいって思ってた。


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