キミと生きた時間【完】

放課後。


下駄箱の中にあった革靴が無くなっているのに気が付いた時、真っ先に頭に浮かんだのはお母さんの顔だった。


『里桜、革靴汚れていたから磨いておいたよ。いってらっしゃい。車には気を付けてね!』


今朝、学校へ向かうあたしを笑顔で送り出してくれたお母さん。


そのお母さんの笑顔を思い出して、胸が締め付けられる。


どうしてこんなことをするんだろう。


どうしてこんなことができるんだろう。


心の中でそう叫びながらも、体育用の外履き靴があることに胸をなで下ろす。


よかった……。


これで、宇宙君のいる神社にいける。


お母さんの待つ家に帰ることができる。


例え、大好きなお母さんに平気な顔で嘘を吐くことになったとしても。





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