オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

卓人さんの言葉が胸に染み渡る。


「ゔっ…ひっく……」


どうして…

どうしてこんな時に優しいの…?

いつもみたいに冷たくて近寄り難い卓人さんだったら、泣かないですんだのに…

笑ってくれてたら、少しは気持ちが晴れたのに…


ううん、違う。

きっと卓人さんがああやって言ってくれなかったら、私きっと泣けてなかった。

強がって、本気じゃなかったって自分の気持ちを欺いて。

絶対後悔して、ずっとずっと引きずってたかもしれない。

だって遣都さんへの想いは、日は浅いけど確かなものだったから。


涙は止めどなく溢れ頬を伝って行く。


「あれー?卓人さん、柚姫ちゃん知りません?」

「ああ、あいつならさっき帰ったけど」

「ええ⁉︎…くそ、一足遅かったか」


卓人さんと蒼君のそんな会話が隣りのスタッフルームから微かに聞こえる。

卓人さん…もしかしてずっとスタッフルームに?

誰もここに行かないように見ててくれたのかな…



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