オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「でも、そこまで本気じゃなかったんで大丈夫です。ただかっこいいなぁって思ってたぐらいだから…好きになって…日も浅いし……」
動揺してるせいかな。
いつもなら卓人さん相手にこんなペラペラ話せないのに。
今は次から次へと言葉が出てくる。
それに、何か話してないと泣いちゃいそうで…
「あはは。卓人さんも笑っていいですよ?お前アホだろって」
「……」
「もう…黙ってないで…笑って、下さーー…」
「ーー…無理すんなよ」
「え?」
今まで黙っていた卓人さんが、私の言葉を遮るようにボソッと呟いた。
よく聞き取れなかったけど、卓人さんの声は何処か切なそうだった。
「今は無理して笑う必要なんてない」
「卓人…さん?」
「今のお前、笑えてねぇし」
「ーー…っ……」
「わかってるから。軽い気持ちじゃなく、本気だったって。自分の気持ちに嘘付くな…お前は偉かったよ」
そう言って、卓人さんは備品室を静かに出て行った。