オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
私は卓人さんに背を向けて歩き出す。
これ以上、卓人さんと二人でいたくない。
早く一人になって思いっきり泣きたい…
そう思ったのに…
「おい!待てって!」
そう言って、卓人さんが私の手首を掴むと、私はそれを咄嗟に振り払った。
「離してください!もう放っておいて!」
目一杯に溜まってた涙が頬を伝う。
「なんで泣くんだよ…」
「もうやめます…卓人さんを好きでいるの」
こんなに辛いなら、もう恋なんてしたくない。
苦しくて辛いだけなら、私はもう一生恋なんてしなくてもいい。
「…卓人さんが何を考えてるのかわかりません」
「……」
「もう放っておいてください…私のことなんとも思ってないなら、キスしようとしたり、こうやって連れ去ったりしないで下さい…」
すると、卓人さんの手が私の頬を包み込み、親指で涙を拭った。
その優しい動きに、ビクッと肩が揺れる。