結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
その日を迎える

素晴らしい始まり

私は目を閉じたままいつものように左手で探る…

でもそこには何もなく、ただ極上の肌触りの良いシーツだけ…

そう、いるわけなかったんだ…

晃希を探す自分を思わず笑ってしまった。

習慣って怖いものね。

いつもはゆっくり寝られないと文句を言うくせに、

でもそこにいつもあるはずの温もりがないことが、

実はちょっぴり寂しかったりもする。

そしてその事実が本当の幸せなんだと実感させられ…


静かに瞼を押し上げ目を開けると、鼻先が触れるほどの間近に

綺麗な顔がこちらをのぞいていた。

「おはよう…」

「おは…っん」

私は近づいてくるその顔に、瞳を再び閉じた。

それから唇に触れる暖かく柔らかい感触…

啄むようにちゅっと一度触れて離れる。


でも吐息がかかるほどの距離にまだ彼はいる気配がする。

今日は心のままにあるがままで素直になろうと決めたから、

唇を少しとがらせて気配のある方に突き出す。

普段の私ならこんなおねだりは絶対にしないけど…


そんな思考を溶かすような甘い口づけが、再び私の唇を塞いだ。

私を包み込むように後頭部に掌が回され、強く彼に引き寄せられる。

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