毒舌に惑わされて
「どうした?なんか暗いぞ?」


隣りに座って、コーヒーを一口飲んだ聖也から見透かすような鋭い視線。


「ん…、人間としてどうかなーと思ってね」


「誰が?」


「あたしが」


「言っている意味が分かんねーな」


聖也が珍しくキョトンとした顔をする。


「いいのよ。分かんなくて」


これは私の心の問題。人をあれこれ言う前に自分を見つめ直してみる必要を感じた。


「あんまり深く考えるなよ。人間なんてさ、みんな違って当たり前なんだから」


「うん…」


詳しく言ってないのに、分かりにくいことを言っているというのに、割と的確なアドバイスをくれる。

聖也に対する見方が変わりそうだ。


「さあて、本日2回目のかんぱーい!」


「かんぱーい!」


葉月の掛け声でグラスをコツンと鳴らす。葉月お手製の料理がたくさん並ぶ。


私も一応手伝った。混ぜたり、かけたりするという簡単な作業だけど、頑張ったし、楽しかった。


「葉月はもう仕事しないの?」


「んー、しばらくのんびりするわ」


「勿体ないなー。こんなに美味しいの作れるのだから。お金取れるよ」
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