毒舌に惑わされて
キリッとした目に筋の通った高めの鼻、程よい厚みの唇。

それとサラサラな髪。

私好みの顔なのに…何で睨まれなくちゃいけないの?


「おい、何とか言えよ」


かなりの不機嫌オーラを漂わせるイケメン。顔のいい人って、睨むと迫力あるから困るな。


「そうね」


「何がそうねだよ」


「ちょっとどんな顔か興味があっただけ」


正直に言っておこう。


「ふーん。で、この顔見てどう思った?」


顔についての感想を聞かれるとは…


「かっこいいと思った」


とりあえず、正直に答える私。


「まあ、当然な感想だな」


この口の悪いイケメンはナルシストな俺様だろうか。

自分に自信がなくおどおどした男よりはいいけど、あまり自信がありすぎるのもちょっと難ありかもしれない。

私は冷静にイケメンを分析する。イケメンに出会えて素敵な夜になるかとほんの少しだけ期待したけど、こんなに口の悪い男は期待はずれだ。

世の中そう簡単にロマンスは生まれない。
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