毒舌に惑わされて
「ちょっと待って!」


「ちゃんと起きたか? 風呂、入って来いよ」


背中を押された私は下着姿のままで、バスルームへ行った。


「もう何よ。こんな格好にするなんて…」


私は聖也への不満をブツブツ言いながら、体を洗った。


バスルームから出て、小さいながらも一応リビングと称している部屋に行く。ソファーとテレビと小さいテーブルしかない部屋だ。

もう少し広い部屋に引っ越したいと前から思っている。でも、引っ越すにはお金がかかる。何か良い方法はないかな…

ハッ!


今、そんなことを思っている場合ではない。

聖也はどこだ?

見渡すほど広くないこの部屋にいないのは一目瞭然だ。

寝室と称している隣の部屋を開ける。この部屋もベッドが大半を占めていて、狭い。

やっぱり引っ越ししたい。

それでもここにあるベッドはお気に入りである。スプリングが程良いから、寝心地の良くて気に入っている。

そんなお気に入りのベッドの半分にパンツ一丁の聖也が寝ていた。

図々しい聖也にも最低限の気遣いがあるらしく、一応私が寝れるスペースを半分開けてある。
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