毒舌に惑わされて
今夜は大の字になって、寝れないな。


「ちょっと、聖也」


聖也にソファーに移ってもらえないかと肩を揺さぶり、起こしてみた。

規則正しい寝息が聞こえるだけで、起きる気配は感じられない。仕方なく聖也に背中を向けて、布団をかけて横になった。

後ろからの寝息が微かだけど、首にかかってくすぐったい。

首を出さないようにと髪の毛で覆う。首回りに髪の毛があるのもくすぐったいけれども、我慢、我慢。


「キャッ…」


腰に何かが乗った。


「手?」


聖也の手が私の腰に回される。退かそうと思ったけど、程良い温もりが心地良くて、そのまま眠りについた。

さわさわ…

モミモミ…

この感触……また?


「ん…?やめて」


腰にあった手は今、胸にあって、好き放題のことをしていた。さわさわ、モミモミだけでなく、コリコリと先端もいじられている。


「起きた? いいから、寝てろよ」


「寝てろって、その間に何するつもりよ?」
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