恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

夜なんて明けなければいい

あの人は私を約束の場所まで連れてきた。
こんな人に家を教えるつもりはない。

「また連絡する」

とだけ言って私を解放した。

私はどうやって家に帰り、シャワーを浴び、着替えて寝たのだろうか。

布団の上に横になっているところで、自分の意識が体に戻ってきた。
ふと枕元の時計を見れば、朝の4時。

最後のところで抵抗しようと思えば、
どんなことをしてでも抵抗できたかもしれないのに
体力では勝てなくても気持ちが負けてた。

結局あの人のなすがままになった自分がわからなかった。


転勤の紙を見せられた時…
本当は別れたくなかった。
でも元々私には選択権なんてなかった。



夫と別れる前から…
おそらく出会った時から気になった人。好きだった男。
でも当時は、私にも彼にもそれぞれにパートナーがいた。

そして、私は今この土地から動けない子どものいるシングル。

彼は転勤のある妻子持ちの上司。

私は転勤までという条件をのみセフレになった。

躰だけでも繋がれるなら…

それからあの契約をさせられて、惨めな気持ちでその身分に甘んじるしかなかった。

「運命?」
自分勝手な感情を押し付け、
そんな無責任な言葉で私を縛るなんて…











私は、まだあの人に躰以上の感情が残っているのか?


< 109 / 195 >

この作品をシェア

pagetop