恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
新しい年

私はわたしだけのもの

年が明けて、正月休みを1日残して彼は戻ってきていた。

あらかじめこっちに来る前にメールで連絡してくれていた。

「こんばんわ」

「みっちゃんお帰りぃ」

娘たちがいつものようにすがりつく。

「お疲れ様。車大変だったでしょ?」

「はい。まあ、慣れているけど1か月に2回も往復すると
さすがに疲れるかなぁ」

「今日は連絡くれたからもう用意できてる。夕飯食べるでしょ?」

「はい。さすがに明後日から仕事で、何もできていないから、
今日は9時過ぎには帰ろうと思ってるんだけど」

「え―。みっちゃん。2日泊まってここから仕事行ったら?」

美奈がみずき君に懇願する。

「う―――ん。美奈ちゃんの頼みでも今日は帰るよ。
本当に何もできていないしね。またゆっくり来るから
許してくれないかなぁ?」


「いいよ。ごめんねのお土産買ってきてくれたら
許してあげる」

「こら、みな!!これ以上ねだったらダメでしょ」

「あ―――、ずるい。
ゆなもみっちゃんにおねだりする!!!」

「こら、二人ともいい加減にしなさい!!!」

いつもの日常。
それは去年までは考えられなかった微笑ましい光景。

それは彼がいることで成り立っている。
私だけでなく娘にも向き合ってくれる彼。
だからこそ、ゆっくりなら…
未来の事も考えられたのかもしれないのに…
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