恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「ひなさん。あなたはその子をいつまでたっても子どもと言おうとはしない。

何でですか?
その命は今はあなたの腹(なか)に存在してるんですよね?」

「…」

「堕ろすんですね」

私は目を見開いた。

「…」

「その子はあなたの子でしょ。その子をこの世に産みだして、僕を父親にしてください」

彼は私に向かって頭を下げた。なに?この人は何を考えているの?

自分を父親にしてくれですって?おかしい。狂ってる!!!!

私は、頭を垂れあり得ない言葉を発する彼を、開いた口がふさがらないまま呆然と見つめた。

私の感情も、すべてが見透かされている…

そして、基本穏やかで優しい彼の強引で激しい一面を知ることとなった。


「…そんなの無理で」

彼は私のそばにさっと寄ってきて強引に口づける。

ずるい。私は彼の…

男の躰に弱い。

「こうしないと、止まらないでしょう?」

不敵に微笑み、私の首筋をなだめるようになでた。

「本人が言ってるとはいえ、これ以上愛する人の悪口は聞きたくありませんから」

口の端がより上に上がったかと思うと、何かを言おうとした私の口を塞ぐように、
すぐに唇を私に戻した。
< 124 / 195 >

この作品をシェア

pagetop