恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「ねえ。何があったんですか?白石課長と」

私はしばらくの間、何も言わなかった。



気まずい雰囲気に俯いて、両手の拳をぎゅっと握りしめる。

「ひなさん?」

「…言わない。いいたくない」

彼は、私の両肩を持って顔をのぞきこみながら溜息を零す。

「もう…
どうせ、聞いても言いませんよね。
じゃ、せめてもう無茶はしないって約束してもらえませんか?
これじゃ、おちおち実家になんか帰れない。

ひなさんは、妊娠してるって自覚ありますか?隙ありすぎですよ」

「そういえば…なんであそこにいたの?」

「あのね。おかげで、誘拐されなくってすんだんでしょ?」

「まさか、白石課長だって誘拐までは…」

「僕にとってあれは立派な誘拐以外の何物でもなかったですけどね」

「そんな…」

「あのまま行こうかと思ってたんだけど、眠くって眠気覚ましを買いに行って。
呑んでみたけど、まだ眠かったから、仕方なく諦めて仮眠してたんです。
まさか、僕だってあんなところであんなものを見るとは」
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