恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「みずき君って血液型ってなんだっけ?」

彼は赤ちゃんに微笑みながら、顔は上げずに

「O型だけど、それが?」

と淡々と答え、また赤ちゃんに微笑みかけていた。

わたしは、その言葉を聞いて、その事実がわかって…

涙が突然溢れだし止まらなくなった。

彼はしばらく赤ちゃんに微笑みかけながら抱いていたが、

私が泣いているのに気が付いて、隣に腰を下ろした。

「どうしたの?血液型が何か?」

「あのね、あのね…

みずき君の言うとおり、この子みずき君の子だったみたい」

私は嗚咽が抑えられなくなり、上手く話せなくなっていた。

身体中から力が抜ける。


私が産んだのは罪の証じゃなかった…

この子はこの誠実な人の子…

「最初っから、僕の子でいいって言ってるでしょ、だか…」

私はこの想いを伝えたくて勢いに任せ彼に口づけていた。

普段私がこんなことをすることがないので、彼はびっくりしている。

「ちがうの…」

「ちがう?」

「そう、以前に言った、違うとはちがうの。本当にみずき君の言うとおりだったの。

なんでわかったの?私でさえわからなかったのに…」

「ひなさんがそういうことになるなら…

それは僕の以外には考えられないからだよ」

彼は、私に向かって満面の笑みを向けた。

私たちの天使をベットの上にそっと降ろし、

涙の止まらない私を両腕で優しく抱きしめる。
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