恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

おんなの欲望

私はその日、彼の告白に対して
何か具体的な意思表示をすることはできなかった。


彼も予定外、突然の事だったので、

「返事は焦りません。ただ、今まで通り週末には
一緒に食事をしてくれますか?」

とだけ言われ、その承諾だけとりつけると
そのまま私を家の前まで車で送ってくれた。





私は彼をはっきりと拒絶することはできないだろう。

もうあの人とはじきに…
いや、もうすでに終わっているようなものだ。

久々一人もいいのかもとそう思ってもいたが、
それは私の精一杯の強がり…

おそらく、私は確実に男が恋しくなる。



男の躰が恋しくなるだろう。


あの人は私が女だということを思い出させてくれた。

そして、女として甦らせてくれた。

でも、それは、女として生きていくしかないということであり、
女として男を欲し続けてしまう躰になってしまった
ということだった。

そうなったのは私の望みであり、後悔はない。

あのころに戻りたいなんて更々思わない。


でもあの人がいなくなる以上、

いずれ私は、一時的であれ、永遠であれ
誰かのものになるしかなかった。

お金を介しての身体だけの関係。
そんな冷めた関係であったとしても
不特定多数との関係を持てるほど私は器用じゃない。

躰を重ねるのなら、相手がだれでもいいってわけじゃない。

愛はなくても嫌悪感のない、生理的に受け付けるような
できれば多少好意を持てる男性とそういう関係になりたい。

いや、ならなければおそらく生き延びることはできないだろう。
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