恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
今夜こそ

お土産

私はその後はっきりと返事をしなかったが、拒絶もしなかった。

二人の間には仕事中もプライベートでも
何もなかったような時間が流れていた。

告白された週末も彼は家にきた。


そして翌週の週末、

「こんばんは」

ドア越しに聞こえる声に娘たちは、背伸びをして彼を確認し、
カギを開けて我先にすり寄る。

「ひなさん、今日はこれ」

手渡されたのは、近所のケーキ屋の箱とワインだった。

この前会社であそこのチーズケーキは
娘と私の大好物なのという話をしたのを思い出した。
細かい会話もよく覚えていてくれるのだ。

あれ以来彼は私にも必ずプレゼントを持って、
来るようになった。

そして、相良さんという苗字からひなさんと
名前で呼ぶようになった。

「いつもありがとう。本当に気を遣わなくてもいいから。
娘たちが喜ぶから食事に招いてるだけだから
気にしないでね」


「いや―、そんなにおいしいなら
僕もお相伴にあずかりたくってね。
でも男一人ケーキ買うのもむなしいので、
付き合って下さいよ。
あとどうせならワインでもどうかと思って」

彼はそう微笑むだけだった。
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