恋愛音痴と草食
三十路のぼやき
 少し前までは妙齢の(そもそも妙齢ってのもいったいなんだろ?)女はよくクリスマスケーキにたとえられていたもんだ。

…25過ぎれば売れ残り云々という都市伝説か的なアレ。

 当時も思ったけど、ずいぶん失礼な表現。人をモノに例えるなんてさぁ。

 女性向け雑誌やらコミックやら小説ではよく見かけたフレーズだったから、25歳過ぎるまでは半ば脅迫めいたものを感じたもんだったっけ。

…ま、何もなかったけど。

 さらに五年後には、うわ、三十路だよ、やばいなぁなーんて思ってた。

…これまた何事もなく終わった。

 今では三十路半ば近くになったけど、私も私の周囲も特に何も変わらないように思う。


 いつも同じ。

 気の合う同僚達と仕事して、誰にも邪魔されずのんびり買い物したりまったり趣味の料理して家族と過ごす。

 そうしてるだけで割と1日終わる。そんな毎日、なはずだった。


……うっかり『奴』の良さに気づくまでは。
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