「わかってるってば」
「気が付かれましたか?」救護室のスタッフに声をかけられ、

ようやく目が覚めて、私は、また恥ずかしさがこみ上げてきた。

「ゆうき・・・」

ゆうきは心配して私を覗きこむ。

「凛さん・・・大丈夫ですか?僕・・・なんか・・・スミマセン。」


「こちらこそごめんなさい。やっぱりダメだったみたいで。」

「送ります・・・」

柏木くんは私の手を取り、救護室を後にした。

昼間の遊園地は賑やかで、歓声は元気いっぱいですごく楽しそうなのに・・・

私と柏木くんはこの上なく、ひっそりと、ほぼ無言で歩き続けた。

「きっと、ゆうきは私に失望しているに違いない。」私は、どう話したらいのか?

「ごめん・・・」

帰りの車の中でも、沈黙は続いている。

「このまま、ゆうきと仲良くなれないのか?」私は、カラダのこと話すべきか

悩んでいたが、ゆうきは自分から切り出した。

「凛さん・・・本当に大丈夫?」

「うん、でも・・・言っておかなきゃいけないことが。」私は言いたくなかったけど、

でも、これは伝えなきゃって。言い出せない自分に、

「ごめん・・・」

柏木くんがそっと手を握ってくれた。

信号が青に変わるまで、ずっと、

お互いの「ごめん」がその手と重なった・・・。

カラダ・・・本当に強くなんなきゃね・・・あなたのために・・・

私はこの日、ちょっと決心したんだっけ。
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