「わかってるってば」
時々、彼女は気分が乗らなかったり、眠たい時にスッと寝てしまう。

これは、習性なのか? リビングの奥の小さい部屋。彼女の寝室まで、

トボトボ歩いては、パタンとドアを閉めてしまう。

リビングに残された僕は、ある日は掃除をしてみたり、

ある日は、料理を作ってみたり。家政婦のようなことを

彼女が目覚めるまで、じっと待ちながら・・・

バイト時間ギリギリまで、起きてこないときもしばしば・・・

そんな時は、置手紙と夕飯と、彼女が夜も困らないように、

いつからこんなことまでするようになったのか?

僕は、彼女が心配でたまらなかった。

たまに、目覚めが早い日は、寝起きにあったかいミルクティーを煎れる。

彼女のリクエストで。砂糖は多めで、彼女に合わせて飲んでいた僕は

すっかり甘党になってしまって・・・

ミルクティーを飲みながら、作品の話をしていた。

今回は純愛をテーマに、

雑誌用の記事と、賞を意識した長編を執筆していた。

たわいもない男女の愛について、僕たちは議論を交わした。

彼女は必死に僕の恋愛を探ってくるが、

僕は彼女と別れたばかりで・・・

いつしか、スマホの待ち受けに写っていた彼女のことを

すごく気にしていて・・・その時からその彼女の写真は全部削除していった。

僕は、凛さんの恋愛についても聞いてみたい。

心の中で、あの男の謎は深まる。

彼なのか?それとも・・・

年上の女性の恋愛は何故か謎めいていて

僕には、違う世界な気がしていたけど、

なんか、あの男には嫉妬すら感じる。

彼女のマンションで2人で過ごす時間は

僕にとって居心地の良い時間となっていた。
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