「わかってるってば」
「聞いてるよ。いろいろ・・・」

「ハ・・・ハイ・・・まぁ。」

先輩は知っていたんだ、私達のこと。

「そういうことなんです・・・」私はこの人には相変わらず頭が上がらない。

「・・・で・・・プロポーズされたんでしょ?」

くぅ~。そこまで知ってたのか・・・と恥ずかしさは加速していく私。

「でも・・・本気なのかどうか・・・わからなくって。」

「いい年して揺れてんの~?しっかりしなさいよ!」

でも・・・

気持ちはどうなのか?

すると、先輩は・・・

「いい子だよ。あの子。」

その一言で私は癒されていった。

「先輩・・・わたし・・・」

「凛が義理の妹かぁ・・・」痛いぐらいに先輩は私の肩を叩いた。

「イタタ・・・」

憧れの先輩が、自分の義理のお姉さまになるってことなんですね。

いいのか・・・これでいいのか・・・こんな素敵な兄弟と私が家族。ほ~。赤面してしまう。

でも、ゆうきへの気持ちが大事なんだ。

先輩・・・

「ゆうきが会いに来るな。って言ってるんです。どうしてでしょうかぁ・・」

「なんとなくわかるな~」

先輩は急に姉の顔になり弟の気持ちを理解したような自信に満ちたりた顔になって

そのあとは一切、ゆうきの話はしなくなった。

「そうなんだ・・・わかるかぁ。」

後にも先にも

先輩とこうして話すことはなかった。

これからは身内になるから

私とゆうきの問題だから

あえて答えを出してくれなかった先輩は

やはりどこかカッコいい。

女としても。

そして、ゆうきの素敵な姉としても。

私は先輩をただただ見つめながらその時間を楽しんだ。



もうすぐ夏が来る。

そうだった・・・

いよいよ、賞の結果が決まる。

「お願いしますぅ~」

早朝から近所の神社に神頼みしている私

「あっ・・・それからゆうきに逢えますように」

願いすぎて汗が滴る。そんな夏の朝だった。

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