桜色ノ恋謌
だけれども。棚が高くて手が届かない。ちょっと、ここ脚立とか置いてないの !?



ぴょんぴょんとつま先立てて本棚に飛び付いてはみたけど、本の背表紙すら掴めない。



こら届けっ。




ひたすら跳び跳ねていたあたしの頭は誰かにガシっと掴まれた。



「意外にちっせーなお前」



……天敵が現れた !!


しかも天敵は、あたしが読もうとしていた本を取り上げた !! なんてこった!



「……返してよ」

「嫌だ。てか、こないだはよくもやってくれたなテメー。おかげでしばらく、つかいもんにならなかった」

「それはヨカッタデス。オメデトウゴザイマスヨ」



無意味な少子化対策なんかしてるから罰が当たったんでしょ、間抜けな奴め。



「……《啄木鳥の森》のリハはいつから?」

「ノーコメント。だから本返して月島くん」

「この本お前んじゃねーし。リハの日程教えてくれたら、お前をイジメてた首謀者を教えてやるけど」

「あんたでしょ?イジメの首謀者」

「は。ちげーよ」



邪魔しないでくんないかな。マジでムカつくわ、こいつ。



「………桜小路公佳(さくらこうじ きみか)。お前が気に入らないってクラスの奴らに言いまくってたらしいな」

「……桜小路公佳……?」



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