桜色ノ恋謌
「観てない。つーか観る気、ない」

「なんでそこは『今度観ておくね』ぐらい言えねーの?結構地味に傷つくわ」



そんなの知らないよ。



「あーハイハイ。どんなドラマ?」


一応は社交辞令として聞いてやるか。


「恋愛モノ。事務所の先輩の弟役。兄弟で同じ女を好きになって、取り合うってやつ」

「ふーん。時間があったら観ておくわ」



多分一生そんな日は来ないだろうけどね!



「おいそこは録画してでも観ろよ。泣くぞ」

「泣け」


なんで録画してまで観なきゃなんないのよ。


「可愛くねぇな。ま、いいや。話は違うけど、最近お前に対してのイジメが弛んできてなくね?」

「……知らない。別に興味ないし」



桜小路さんにはまだお目にかかったことはないけど、確かにイジメは前ほど酷くはなくなった。



「お前が次の日9の準レギュラーになったからだろ。あのクラスも所詮は実力社会だから」




………実力社会っていうか、そのまま芸能界の縮図に思えるんだけど。




「それはお前が自分の力で、もぎ取ったんじゃん?運も実力のうちっつーしさ。せいぜい頑張んな」

「……月島くんて、良い奴なのか嫌な奴なのか分かんない。何考えてんの?」



あたしのことを潰すって言ってみたり、応援してみたり。



「んー……。共演するなら、桜小路よりお前とやったほうが楽しいし。そんなとこ」



だから、何が言いたいのかが分かりませんてば。




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