桜色ノ恋謌
「まず、学校で苛められてたという話しは本当?」



もう、その話しも今更なんだけどなぁ……。



「……本当です。だけど、イジメられてたのは1年生の2学期ぐらいまでで、その後は何事もないですから」

「何事もって……。相手は誰なの?」




高橋さんは、昨日までの事務的で鉄仮面みたいな聞き方はしてこなくて。



心底私を心配してくれてるような優しい口調で訪ねてくるから、 これなら信用して全部話しても良いかな、とか思うのよね。



「公佳ちゃんの、取り巻き達です。私の態度が面白くないって言ってましたけど、この現場で公佳ちゃんとは仲良くなれたから、もう学校に行っても問題ない…と思ってます」

「……そう言えば、この前桜小路公佳と二人で話しをしてたのよね。あの時は何も無かったの?」



何もってなんだろう?袋叩きにされるとかかな?


「はい。あの時、お互いにちゃんと話しができたから、今は名前で呼べるぐらい仲はいいですよ」



高橋さんは苦しそうに「……気づかなくてごめんなさい……」と呟いた。



驚きだ。


今までの高橋さんなら、「自分でなんとかしなさい」ぐらい言いそうなのに。


本気で私の事を心配してるのかな。



「……それで、次に。咲絢が付き合ってるっていう人の事を教えて?名前と仕事、できれば携帯番号も」



えぇぇえぇぇ!! 携帯番号は勘弁してよぉ!

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